子連れ恐竜オタク、ヨーロッパの博物館を行く。

恐竜オタクの目線でヨーロッパの博物館をご紹介します。

ヴァーサ号博物館(スウェーデン・ストックホルム)

処女航海でその日のうちに沈んでしまったという悲劇の戦艦ヴァーサ号が実際に展示されている博物館がスウェーデンストックホルムの中央駅からバスやトラムで20分ほどのところにあります。

海底から引き揚げたヴァーサ号をすっぽり覆う建屋

1626年、スウェーデン国王の命によりその建造が始まったヴァーサ号。

当時は大航海時代の真っ只中。どこの国も大きな船を建造し、領土を取り合っていました。スウェーデンも国の威信をかけて400人もの人の手によってヴァーサ号を建造しました。

高さ52メートル、長さ69メートル、重量1200トン、当時最強の戦艦になる予定でした。

博物館の入り口を抜けると圧倒的迫力のヴァーサ号が鎮座しています。

たくさんの煌びやかな彫刻を施しまるで美術品のよう

さぞ豪華絢爛な船だったことでしょう。

写真に写りきらない巨大な戦艦

ところが処女航海の当日1628年8月10日、強風にあおられ出航からわずか1300メートルで転覆し沈んでしまいました。

 

沈むヴァーサ号

オーマイガーってなってる人々

当時は設計図なども作らず経験でこの船を作っていました。途中でこの船を設計した人は完成を待たずに亡くなってしまいます。その後、この船を最強の戦艦にしたい国王はたくさんの注文を付けて、現場はその仰せのまま造船を続けました。

最終的には従来は一層だった大砲用甲板を二層にし、30門だった大砲が62門になりました。

結果その無理な設計によりバランスを崩し、大勢の国民が見守る中あっけなく沈んでしまったのでした。

 

沈没から333年後の1961年にスウェーデンは多額の予算を投入してヴァーサ号を引き上げました。

ヴァーサ号の引き上げの様子の模型

海軍の重潜水士達が船の下にトンネルを掘り、ワイヤーを通して船でけん引しました。

ヴァーサ号の復元模型

そして散らばった部品をかき集め、この博物館に再びヴァーサ号を蘇らせたのでした。

 

私が何よりも感心したのは国はこの事故に関して誰にも責任を取らすことのないようにしたということ。

そして世界でも例を見ない出来事を過去のものとしてなかったことにもできたのにわざわざお金をかけて引き上げて展示し、このようなことが再び起こることのないよう後世に語り継ごうという国の覚悟を垣間見ました。

 

色彩豊かで豪華絢爛のヴァーサ号も見てみたかったですが、個人的にはこのいぶし銀の効いた今のヴァーサ号もしっぽりとしたストックホルムの町にはとても似合っていていこれはこれで美しいと思います。

 

ちなみに去年、ヴァーサ号の姉妹船「アプレット号」がストックホルム郊外の沖合で見つかったそうです。

アプレット号はヴァーサ号と同じ技師により建造されたものの、こちらは航海に耐えられないとみなされ海に沈められたそうです。

いぶし銀のヴァーサ号。

冬のストックホルム

ただその巨大な美しい船を見たくて来てみましたが、思いのほか組織とはいかなるものかということを考えさせられた実に奥の深い博物館でした。

 

今はストックホルムでも目玉の観光名所となっているようです。

ストックホルムを訪れた際は是非足を運んでみてください。

 

ヴァーサ号博物館 Vasa Museet

ホームページはこちら↓

www.vasamuseet.se

 

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