子連れ恐竜オタク、ヨーロッパの博物館を行く。

恐竜オタクの目線でヨーロッパの博物館をご紹介します。

コルプス人体の旅博物館(オランダ・ライデン)


日本に伝わった蘭学、それを基に作られた杉田玄白の解体新書。。。

私の中でオランダは医学の国のイメージがあります。

実際にオランダには人体に係る博物館がたくさんあります。

その中の一つ、アミューズメント性が高くて人体標本もたくさんは置いてない(ここ重要!)子供たちも楽しめるCORPUSコルプス人体の旅博物館をご紹介します。

 

建物は人の形になっています。高速道路からでも見えます。

場所は私が神と崇める大好きなナツラリス(ナツラリス自然史博物館)と同じオランダ・ライデンにあります。

コルプスとはラテン語で体という意味。

名前の通りに自分が小さな生き物になって体の中を旅をするという体験型の博物館です。

 

ずっと行きたかったのですがいくつかのポイントにより二の足を踏んでいました。

①入場料が中々良いお値段。

大人も子供も23.95€(日本円、現在のレートで約4000円!)

なおかつ、オランダのミュージアムパス(オランダ国内の博物館に入れる年パス)は使えない!

②対象年齢が6歳以上。

現在は6歳以上推奨となっていますが、少し前まで6歳未満は入場不可となっていました。

次男が6歳になるのを待って行きました。

 

チケットは現地でも買えますが1€高くなるので事前購入をおすすめします。

あと私たちが行ったのは夏休みが終わってすぐの時期だったので空いてましたが、バカンスシーズンは予約が取りにくく埋まってしまう日があるようです。

 

 

10人くらいのツアーで約15分ごとに出発します。

始まる前にオーディオガイドが一人一つ配られます。

オランダ語・英語・フランス語他にも言語があったと思いますが日本語はありませんでした。

こちらは入場料に含まれています。

写真撮影は確認したところOKでした。

ツアーはおよそ1時間です。途中トイレはなさそうな感じだったので始まる前に済ませたほうがよさそうです。

 

 

ツアーですがガイドさんは特についていなくてオーディオガイドを聞きながら進みます。

この部屋は血液の部屋です。血液の役割について説明しています。

中は暗くて少し気味が悪い感じですが、各部屋ではいろんな体の働きについて紹介しています。オーディオガイドを聞きながらスクリーンの映像を見ます。

 

血管の中はこうなっていますという説明

棘がいきなり出てきて、ケガをしたあとどのように治るのかという説明

精子が受精するまでの冒険を説明しています。

腸の働きについて説明しています。

腎臓の働きについての説明

みんな恐る恐る次の部屋へ進む。

映像が終わると次の部屋の扉が開いてなんとなく進んでいきます。

(暗くて先が分からないので恐る恐る進んでいきます。とりあえずオランダ人について行ってみるw)

途中3D眼鏡を渡されてスクリーンを見ながらゴンドラで上がっていきます。

このようなゴンドラにいくつか乗って上へ上へと上がっていきます。

口の中。舌の上はゴムのように少し弾めるのですが子供たちは怖がって奥まで行きません。

耳の部屋。

鼻の部屋。鼻の中から外を見ている。映像とともに香りが出る。

目の部屋。

脳の部屋。

最後に脳の部屋でツアーの終了になります。

ツアーが終わるのは最上階です。見晴らしのいい最上階にはカフェもあります。

見晴らしのいいカフェで一休み。

これで終わりかとエレベーターで0階まで行っては行けません。

他の階にも展示があるので忘れずに立ち寄りましょう。

体にまつわる展示やゲームがあります。

大きな血管が走る展示室。

臓器提供できる人はどの人か探すゲーム。時間制限があって中々難しい。

避妊具の歴史コーナー。

個人的に衝撃だったのは避妊具の歴史コーナー。

一番初期に展示されている避妊具は紀元前460年のエジプトのもので当時ラクダを妊娠させない方法として子宮にストローのようなもので小石を入れていたそうで、それを女性にも進めていた。。。

紀元前1500年のエジプトでは蜂蜜とアカシアの棘を混ぜたものを膣に入れて殺精子作用を期待した。。。

更に18世紀では愛人が妊娠しないように子宮頚部に半分に切ったレモンと置くように指示した。。。

どれもこれも聞いているだけでお腹が痛くなりそう。。。

避妊具の歴史コーナー比較的最近。

体に係わる学習の一部として性教育もきちんと取り入れるのはさすがオランダですね。

 

最後はお待ちかねのミュージアムショップ!ここのショップはマニアックで中々いい感じ。

ゆるキャラ顔負け、細胞や臓器のぬいぐるみコーナー

おすすめは頭痛のぬいぐるみ

痛み系は目が充血しているのがカワイイw

膝関節痛もどうぞ。

ホネホネ系キーホルダーも充実。

人体に関する博物館だけど子供たちが怖がる人体標本も置いてないし(少しあるけど)、アトラクションのように楽しみながら学べる世界的にも珍しい人体の博物館コルプス。

家族四人で約16000円の入場料とかなりお高いですが、個人的な感想にはなりますが私は行く価値があると思います。

なぜなら今の日本で人体というテーマだけでこの規模の体験型の博物館を一から作るのは難しいと思うからです。

オランダならではの博物館です。

子供たちともその後体のしくみの話をするときにコルプスで見たあれだよ言うと、あっあれねと経験と結びつけています。

確かに暗くて不気味でちょっと怖いですが幼稚園年長さんくらいからなら少しは興味を持ってもらえるのではないかなと思います。

 

もし行かれるのを迷っている方がいましたらこのブログが参考になればいいなと思います。

 

コルプス人体の旅博物館(CORPUS)

ホームページはこちら↓

corpusexperience.nl

 

地図はこちら↓

 

 

ヘルシンキ中央図書館”Oodi”(フィンランド・ヘルシンキ)

フィンランドヘルシンキ自然史博物館に訪れた際に開館時間まで時間があったので(北欧の休日は朝がゆっくりですね。日曜日は11時オープンでした。)近くにあった中央図書館”Oodiオーディ”に立ち寄りました。

 

ヘルシンキ自然史博物館についてのブログはこちら↓

mamadinosaur-europe.hatenablog.com

 

元々本が好きで図書館も大好きなのと、ガイドブックにも載っている観光スポットのようだったので何の知識もなく興味本位で行ってみましたがここがすごいとこでした!

流線型の素敵すぎる建物。

外観も近未来なんですが図書館の中もすごいんです。

なんということでしょう。図書館にいると思えないような圧倒的な解放感。

行った後で調べて知ったのですがここの図書館は2019年に国際図書館連盟によってPublic library of the yearに選ばれたこともある世界一優れた図書館だそう。

そしてこの3階のフロアは”本の天国”というテーマで作られているそう。

それぞれの人がゆっくりと思い思いの時間を過ごしています。

このワンフロアに様々なジャンルの本がそろっています。

児童書のコーナーも同じフロアにあります。

ここの図書館のすごいなと思ったところはジャンルを問わず同じフロアで読むことができるということ。

例えば児童書コーナーなんかは日本だったら子供がうるさくしがちなので階を分けたり部屋を分けたりしていますが、ここは同じフロアなので子供を遊ばせながら大人は大人の本を読むことができます。

ボードゲームもありました。館内でも遊べるし貸し出しもあるようです。

日本語の本も少しだけありました。

ロボットが自動で棚まで本を運んでくれるそうです。

私が行ったときには見ることができなかったのですがロボットが自動で棚まで本を運んでくれるそうなんです。

確かにこのフロアで案内係の方を除き、スタッフの方をほとんどお見掛けしませんでした。

本の返却は1階にある返却窓口へ。ここも自動です。

この建物の二階には市民が3Dプリンターやミシン、レーザーカッターなどの機械を気軽に使用できるコーナーとなっています。

事前予約制で材料費のみで使うことができます。

ロックミシンやクロスプリンターもあります。

その他楽器を借りて演奏したり、なんとゲーム機を借りてゲームをする部屋もありました。(Nintendo Switch,Playstation VR,Xbox One Xなど)

若者は大画面でNintendo  Switchをやってました。ゲーム部屋は撮影不可でした。

エレキギターも貸してくれます。防音室も使えます。

1階から3階まで繋がっている螺旋階段。

1階にはチェスができるコーナーとカフェがありました。

私の思う公共図書館を遥かに超えた図書館でした。

児童書コーナーが大人の本と同じフロアで子供たちが自由に遊べたり、ボードゲームでも遊べたり、楽器やゲームが無料でできたり、本当にすべての人に平等に開かれた図書館でした。

(私は行きませんでしたがトイレも男女一緒のユニセックストイレだそうです。)

公共図書館でゲームが借りれるなんて、日本だったら税金でゲーム機買うなって炎上しそうですよね。

教育費や医療費といった金額的な面だけではない、福祉の本当の意味を考えさせられました。

 

福祉大国フィンランドをほんの一部ですが垣間見ることができました。

図書館に興味がなくても、是非一度足を運んでみてください。

図書館の概念が覆されます。

 

ホームページはこちら↓

oodihelsinki.fi

 

地図はこちら↓

 

 

 

ケネディスペースセンター・ビジターコンプレックス(アメリカ・フロリダ)

基本的に乗り物が好きな我が家、今回はヨーロッパを飛び出しアメリカ旅行に行った際に訪問したケネディスペースセンター・ビジターコンプレックスをご紹介します。

 

オーランドの国際空港から車で一時間かからないくらいのところにあるケネディスペースセンター(John F.Kennedy Space Center)。

途中野生のワニが出るから停車するなとおっかない注意書きのある周りがジャングルような高速道路をひたすら走り、大きな橋を渡るとだだっ広い敷地の中に一般のお客さんが見学できるエリア、ビジターコンプレックスがあります。

見学エリア内にはたくさんのロケットが展示されています。

ここには本物のスペースシャトルアトランティスや宇宙を体感できるアトラクション、映画館など博物館・科学館・アミューズメントパークがミックスされたような宇宙に興味がなくても一日中楽しめる広大な施設となっています。

 

事前の調べで一番人気はアポロ計画でアポロ宇宙船を宇宙に送るために使われたロケット、サターンVが展示されている建屋へバスで移動するツアーだということで着いてからすぐに敷地内から出ているバスに乗りました。バス代は入場料に含まれていますので別途かかりません。

途中NASAの建屋を通ります。星条旗NASAのロゴがかっこいい!

ロケットランチャーも見えます。

この日は行われていませんでしたが、事前にロケットの発射日を調べていけば発射を見ることができるそうです。(このセンターのアプリを入れたのですがたまにSpaceX社のロケットの打ち上げいついつやるから見に来てねみたいなお知らせが届きます。)

 

10分ほどでサターンVの建屋に着きます。

サターンVの大きさは111メートル!このド迫力な展示はさすがアメリカって感じですね。

建屋に入るととんでもない大きさのサターンVのエンジンに圧倒されます。

サターンVとともにそれぞれのアポロ計画の時のエンブレムがでっかく飾ってあります。

この建物にはレストランがあってサターンVを見ながらランチができます。

アポロ11号月面着陸のニュースを報じた世界中の新聞も展示されています。

宇宙へ出発する当日、発射台まで宇宙飛行士を乗せるためだけのバス。

宇宙飛行士は感染症対策の為宇宙へ行く何日も前から隔離されて生活し、当日も外部と接触しないように専用のバスに乗っていくそうです。

 

他にも月面探査についての展示や映像がいろいろあります。

なかでも記憶に残ったのはアポロ1号の地上訓練中に火災でなくなった三人の宇宙飛行士を紹介する展示です。

この三人はどんな人物でどんなものが好きだったかなど人となりがわかる展示になっています。

私は人類の宇宙開発の歴史はよく知りませんでしたがこの展示を見て亡くなった宇宙飛行士がいたことを初めて知りました。

こうしたことを展示にして伝えていくこともアポロ計画の輝かしい功績とともにとても大事なことだと思いました。

 

のんびりしているとサターンVで一日が終わってしまうくらいのボリュームなので、急いでまたバスでメインのセンターまで戻りお目当てのスペースシャトルを見に行きます。

(ちなみにショップはサターンVに1か所、ビジターコンプレックス内に2か所ありましたが、必ず同じものが売っているとは限らなかったので欲しいものを見つけたらすぐ買うことをおすすめます。個人的にはサターンVのショップが良かったです。)

 

スペースシャトルアトランティスの展示してある建物。

アトランティスをこんな近くで見ることができます。

1つ1つの傷も生々しくて、宇宙で付いた傷なのかなと思うとワクワクします。

アトランティスの内部を見ることができます。

その他にも宇宙ステーションをドッキングさせるシュミレーターや宇宙飛行士の訓練シュミレーターなどゲーム感覚で遊びながら学べる展示もありました。

轟音と振動を感じることができるスペースシャトル打ち上げ体験はとても人気で並んでいました。(身長制限がありました。)

 

時間もあまりなかったのですが最後に訪れたのはPlanet Playという子供向け室内遊技場です。

初めに来たら一日中いてしまうくらいの楽しさ。

小さいお子さん連れにはここがメインでもいいくらいの規模の宇宙をテーマにした遊技場。

体を動かして遊べるゲームもあります。

滑り台や大きなネットもあります。

閉館時間までここでクタクタになるまで遊んで帰りました。

 

宇宙に興味があってもなくてもアメリカならではのその迫力とアミューズメント性で一日中楽しめる(なんなら二日券もあります)ケネディースペースセンター・ビジターコンプレックス。

フロリダに旅行の際はティズニーワールドだけでなくこちらもおすすめです!

 

ケネディースペースセンター・ビジターコンプレックス

(John F.Kennedy Space Center・Visitor complex)

ホームページはこちら↓

www.kennedyspacecenter.com

 

地図はこちら↓

 

ベルギー王立自然史博物館②(ベルギー・ブリュッセル)

間がずいぶんと空いてしまいましたが、この間に本帰国を致しました。

最後の旅行でリストにはあげていたけれど行けていなかった博物館を無事回収してヨーロッパの生活を終えることができました。

日本には帰国しましたが私の訪れた素晴らしい博物館を多くの日本人に知ってもらうべく、私の生涯をかけて残りの博物館を少しづつ解凍しながら丁寧にこのブログに載せていこうと思っています。

まだまだヨーロッパの博物館について書き残したいことが山ほどあるので長丁場になりますがもし興味がございましたらお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

 

さて、私の心の故郷ベルギー王立自然史博物館の続きを書きたいと思います。

前回はこの博物館の目玉、私の愛してやまないイグアノドンの展示についてご紹介しました。

↓前回の記事

 

mamadinosaur-europe.hatenablog.com

恐竜に関して言えばこの博物館にもう一つ目玉の実物全身化石があります。

それはイグアノドンのある恐竜ゾーンとは別の建物の進化のギャラリー(Gallery of evolution)に展示されている、アロサウルスのArkahaneです。

進化のギャラリーの一番端に特別に展示されているアロサウルスArkahane。

オリジナルの骨が70%という素晴らしいこの化石は2018年パリのオークションで個人のコレクターによって落札され(落札者と落札価格はともに不明ですが金額は一億円以上と言われています)、

所有者の意向により期間限定でこの博物館に展示されていましたがなぜかその期間は伸びて今もそのまま展示されています。

なんならちゃっかり博物館のオリジナルグッズにもなっています。

ちなみに従来のアロサウルスと異なる特徴がいくつかあり、アロサウルスとは別の新種の恐竜ではないかと言われています。

(下あごが細い・歯が小さい・恥骨の形が異なるなど)

今後博物館のほうで研究を重ね、学名を付けるそうです。

言われてみればアロサウルスとは違う印象。

全身骨格についている頭骨はレプリカで下に展示してあるのか実物です。

進化のギャラリー。先カンブリア紀から現生の動物まで展示されています。
奥にArkahaneがちょっと見えます。

進化のギャラリーの隣の部屋にあるのが生きている惑星ゾーン(Living Planet)です。

背景を白としたオシャレな展示です。

様々な動物たちがカテゴライズされずに並んでいますが、でもごちゃごちゃしていなくて生き生きとした動物たちの姿を見ることができます。

小さな子供たちが一番テンションの上がる展示室です。

まさに生き物の宝石箱☆彡

この博物館も広くてじっくり見ると一日コースになってしまうので、

後はいくつか私の個人的におすすめな展示をご紹介いたします。

 

生きている惑星ゾーン(Living Planet)と同じ階にあるホネホネコーナー。

白と黒を基調としたシックな展示。

ここでは四肢動物の骨について学ぶことができます。

壁にはたくさんの動物の絵がありボタンを押すと、

四肢動物は骨の絵が出てきて、それ以外は赤色になります。

四肢動物の中でもそれぞれ同じ部位に印がついて比べることができる。

四肢動物に関するクイズ。正解のところにひもをかける。

裏返して答え合わせができる。

骨を見るだけでなくわかりやすいクイズなどを通して学ぶ展示はとても画期的だと思います。

また、地下1階の産状イグアノドンの隣の展示室に海生爬虫類コーナーがあります。

ベルギーで見つかった世界最大級のモササウルス、
ハイノサウルス(Hainosaurus bernardi)。

こちらもベルギー産のプログナトドン。

特にこのプログナトドン(Prognathodon solvayi)の頭骨は毎回見惚れてしまうほど素晴らしい標本です。

壁の絵がまた可愛い!

他にもおすすめポイントはたくさんありますが書ききれないので抜粋しました。
私の推し博物館なのでひいき目ではありますが、それを差っ引いたとしても本当にとても素晴らしい博物館だと思います。

 

余談ですが今博物館ではディプロドクス"Dan"の実物化石のクリーニングを進めており、2024年末に20メートルほどの巨体が博物館でお披露目されるそうです。

いつかまた、このDanを見に私の推し博物館に行けたらいいなと思います。

 

ベルギー王立自然史博物館(L'instiut des sciences naturelles)

ホームページはこちら↓

www.naturalsciences.be

 

地図はこちら↓

 

 

ベルギー王立自然史博物館①(ベルギー・ブリュッセル)

念願のブログを立ち上げて早4か月。

私なりのペースでぽちぽちと残していますが、この博物館を書かずしてヨーロッパを去るわけにはいかないので満を持して書き残したいと思います。

 

私がベルギー王立自然史博物館を最初に訪れたのは8年前、当時付き合っていた旦那と海外旅行で立ち寄ったのが始まりでした。

立ち寄ったというかイグアノドン目当てで旅行に来たというのが正しいです。

 

それから時が流れて、不思議な縁でベルギーに住むことになり、博物館の年パス会員になり、博物館友の会にも入り、フランス語を勉強して友の会の様々なイベントにも参加しました。

海外での生活はキラキラしていると思われがちですが、

中々大変なことも多くメンタルもやられます。

そんな時は気晴らしに自然史博物館を訪れていました。

回数としては40回以上は行ったと思います。

私のベルギーライフは常に自然史博物館とともにありました。

 

そんな私の大好きなベルギー王立自然史博物館(L'institut des Sciences naturelles)をご紹介したいと思います。

博物館入り口にあるイグアノドン(2015年)

コロナ禍、マスク着用(2021年)

現在(今秋から始まった特別展の内覧会時)

ベルギー王立自然史博物館はブリュッセルの中心地、EU本部の近くにあります。

博物館の隣にはEUの会議を行う欧州議会と市民の憩いの場レオポルド公園があります。

市民の憩いの場、レオポルド公園。この公園の脇を抜けて博物館へ行きます。

レオポルド公園から見た博物館の建屋。裏には博物館の収蔵庫が収まる建物が見えます。

博物館から見た欧州議会

ここの博物館のメインと言えばもちろんイグアノドンです。

1878年ベルギーの南西、フランスとの国境ベルニサールという鉱山で30体のイグアノドンの骨格が発見されました。

当時は恐竜について少しづつわかり始めてきた時代でした。

研究者たちはたくさん見つかったイグアノドンを手探りで復元することにしました。

当時の研究者がカンガルーや鳥を参考に骨格を復元している。

当時の研究者ががんばって復元した9体のイグアノドンの骨格(1体はのちにマンテリサウルスという違う種類ということが分かった)は1階に、

それ以外の発掘時のまま姿勢で保存されているのが地下1階に、

それぞれ化石が劣化しないように湿度と温度が一定に保たれたガラス張りの展示室に展示されています。

1階の恐竜ゾーンの展示室はとても広く、その半分をイグアノドンが占めています。

復元イグアノドンを2階から眺める。

横からの景色も圧巻です。

ガラス張りですがこんなに近くで見ることができます。

これは内覧会時にのみ公開していたレアな夜の展示室(内覧会は友の会で招待されました)

これらのイグアノドンのポーズの復元から時がたち、その後恐竜の研究も進み、

現在では2足歩行ではなく4足歩行のポーズが主流となりました。

ここの博物館では当時の研究者が作り上げた2足歩行のポーズはそのままにしています。

ただ1体だけ、ポーズを4足歩行に変えて展示されています。

それもしっぽの半分がガラスケースに入ったままで、過去から現在に飛び出してきたぞってな感じで展示されています。

1体だけガラスから出てきた風にした粋な展示。

地下1階には発見時のままポーズの産状化石が展示されています。

展示室の壁にはイグアノドンが発見された当時のスケッチが飾ってあります。

このオシャレなスケッチはポストカードとして販売もされています。

このイグアノドンに何度癒され、励まされたかわかりません。
何回来てもその迫力に圧倒されて、美しさに魅了されて、毎回ため息がでました。

特別展の内覧会ではイグアノドンの前でワインが振舞われました。イグアノドンに乾杯!

この美しさ、この魅力がたくさんの人に伝わるといいなと思います。

 

今回はイグアノドンの紹介でしたが次回は他にもたくさんあるベルギー王立自然史博物館の見どころを私なりにご紹介したいと思います。

 

ベルギー王立自然史博物館(L'institut des Sciences naturelles)

ホームページはこちら↓

www.naturalsciences.be

 

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オセアノグラフィック水族館(スペイン・バレンシア)

日本人は魚を食べます。そして割と身近な生き物として捉えて魚を愛し、世界的に見て国の面積に対して多いくらいにたくさんの水族館が日本にはあります。

それに比べてヨーロッパはそこまでたくさんの水族館がありません。

むしろ動物園が大小わんさかあります。

 

その数少ないヨーロッパの水族館の中で最大級と言われているものが2館あり、一つはポルトガルにあるリスボン水族館。もう一つは今回取り上げるスペイン・バレンシアにあるオセアノグラフィック水族館(Oceanogràfic València)です。

 

クジラのような建物が遠くからでも見えます。

スペインの首都バルセロナから南へ350キロ、スペイン第三の都市バレンシアはパエリアの発祥の地でもあります。もちろんバレンシアオレンジも!

郊外に出ると高速道路沿いにたくさんのオレンジ畑を見ることができます。

 

とても温暖な気候でこの時は2月でしたが暖かかったです。冬は曇りと雨で太陽と無縁の北ヨーロッパに住む我々とっては本当にうらやましいくらいです。

屋外には南国っぽい生き物たちがいます。

わにもいます。

海獣系もいます。

水槽の展示としてはサメが充実していました。

いろんな種類のサメの卵

サメ推しの方はいつまでも見られますね。

サメ水槽のトンネル。

サメの体内の模型

日本のタカアシガニの紹介もありました。

 

一番驚いたのは大きなショー用のステージ!

日本の水族館顔負けの大きなステージ

ヨーロッパ、特にフランスは動物愛護に対してとても厳しくて基本ショーなどは禁止されているところが多いです。フランスにもそこそこ大きな水族館がありますがこのようなショーを行う施設がないところが多いです。こんなに大きなステージをヨーロッパで初めて見ました。

 

オセアノグラフィックではショーを行っていましたが、ショーが始まる前にあくまで動物たちの行う訓練の一環をお見せするだけですよというような前置きを入れていました。

トレーナーさんたちもいました。

日本だったらこの規模のスタジアムで上からボールを釣り上げて、その高さまでイルカがジャンプしてみたいなダイナミックがショーが見られると思います。

この水族館ではイルカが一緒にジャンプしたり、トレーナーさんが背中に乗って泳いだりが精いっぱいな感じなショーでした。

ヨーロッパの中ではこのあたりが落としどころなのかなと思いました。

所変われば水族館のショーも変わるということですね。中々興味深かったです。

 

トンネルの水槽どこの国でも人気です。

暖かい海の魚は色鮮やかで映えますね。

初めにも述べたように日本人は無類の水族館好きで、世界的にも類を見ないほどの数の水族館が日本国内各地にあるという特殊な人種です。

その水族館好きの日本人が作った日本の水族館をいつも見ていると正直ちょっと物足りなさを感じてしまうかもしれません。ヨーロッパの水族館ならではの良さもあるのでショーの件をはじめとするその文化の違いも楽しんでもらいたいなと思います。

 

でもやはり水族館はいいですね、癒されます。

そして冬でも太陽いっぱいで暖かいスペイン、最高でした!

太陽がいっぱいって最高だ!

オセアノグラフィック水族館(Oceanogràfic València)

ホームページはこちら↓

www.oceanografic.org

 

地図はこちら↓

 

 

 

ヴァーサ号博物館(スウェーデン・ストックホルム)

処女航海でその日のうちに沈んでしまったという悲劇の戦艦ヴァーサ号が実際に展示されている博物館がスウェーデンストックホルムの中央駅からバスやトラムで20分ほどのところにあります。

海底から引き揚げたヴァーサ号をすっぽり覆う建屋

1626年、スウェーデン国王の命によりその建造が始まったヴァーサ号。

当時は大航海時代の真っ只中。どこの国も大きな船を建造し、領土を取り合っていました。スウェーデンも国の威信をかけて400人もの人の手によってヴァーサ号を建造しました。

高さ52メートル、長さ69メートル、重量1200トン、当時最強の戦艦になる予定でした。

博物館の入り口を抜けると圧倒的迫力のヴァーサ号が鎮座しています。

たくさんの煌びやかな彫刻を施しまるで美術品のよう

さぞ豪華絢爛な船だったことでしょう。

写真に写りきらない巨大な戦艦

ところが処女航海の当日1628年8月10日、強風にあおられ出航からわずか1300メートルで転覆し沈んでしまいました。

 

沈むヴァーサ号

オーマイガーってなってる人々

当時は設計図なども作らず経験でこの船を作っていました。途中でこの船を設計した人は完成を待たずに亡くなってしまいます。その後、この船を最強の戦艦にしたい国王はたくさんの注文を付けて、現場はその仰せのまま造船を続けました。

最終的には従来は一層だった大砲用甲板を二層にし、30門だった大砲が62門になりました。

結果その無理な設計によりバランスを崩し、大勢の国民が見守る中あっけなく沈んでしまったのでした。

 

沈没から333年後の1961年にスウェーデンは多額の予算を投入してヴァーサ号を引き上げました。

ヴァーサ号の引き上げの様子の模型

海軍の重潜水士達が船の下にトンネルを掘り、ワイヤーを通して船でけん引しました。

ヴァーサ号の復元模型

そして散らばった部品をかき集め、この博物館に再びヴァーサ号を蘇らせたのでした。

 

私が何よりも感心したのは国はこの事故に関して誰にも責任を取らすことのないようにしたということ。

そして世界でも例を見ない出来事を過去のものとしてなかったことにもできたのにわざわざお金をかけて引き上げて展示し、このようなことが再び起こることのないよう後世に語り継ごうという国の覚悟を垣間見ました。

 

色彩豊かで豪華絢爛のヴァーサ号も見てみたかったですが、個人的にはこのいぶし銀の効いた今のヴァーサ号もしっぽりとしたストックホルムの町にはとても似合っていていこれはこれで美しいと思います。

 

ちなみに去年、ヴァーサ号の姉妹船「アプレット号」がストックホルム郊外の沖合で見つかったそうです。

アプレット号はヴァーサ号と同じ技師により建造されたものの、こちらは航海に耐えられないとみなされ海に沈められたそうです。

いぶし銀のヴァーサ号。

冬のストックホルム

ただその巨大な美しい船を見たくて来てみましたが、思いのほか組織とはいかなるものかということを考えさせられた実に奥の深い博物館でした。

 

今はストックホルムでも目玉の観光名所となっているようです。

ストックホルムを訪れた際は是非足を運んでみてください。

 

ヴァーサ号博物館 Vasa Museet

ホームページはこちら↓

www.vasamuseet.se

 

地図はこちら↓